道徳や常識という色眼鏡です

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今日も嫌なニュースがありましたね。
広島の中学3年生の男の子が昨年12月に自殺した事件。
学校側のミスで「1年生時に万引き」誤記録が残っていて
第二志望の私立高校について学校長の推薦が必要な専願受験を
「できない」と生徒に伝えていたことが原因らしいという話・・・
本当に心からこの学校の教育方針、
そして教育者のモラルの在り方に心から失望致しました。

この男の子、勉強もスポーツもできる生徒だったらしいですが、
きっと生真面目に進学のことを考えているタイプだったのでしょうね。
残念でなりません。

そもそもこの生徒は無実の罪だったそうですが、
学校推薦の要件に「万引き行為の有無」があったかどうか?
を記載するということにもビックリしましたが、
この学校では、その記載を3年生の1年間に限ってとしていたものを、
今年度になって1年生からの記録を持ちだすことにしたのだそうです。
校長先生の「3年間の頑張りを評価する」という方針で。

だとしたら、思いっきり矛盾してますよね。
頑張ったことを評価するのなら、
何故、過去の失敗についていつまでもこだわる必要があるのでしょうか?
この生徒さんの場合は、しかもそれが濡れ衣だったわけですが、
私は、中学生の生徒が万が一万引きをしたとしても、
その後、それが常習化している場合でないなら、
当然不問にするべきだと思います。

だってその時に何らかの処罰は受けている訳ですし、
2年も前のことなんですよね?
教育者であるなら、少年の更生ということに目を向けるべきで、
懲罰的にラベリングをし、1度の過ちを決して許さないというのは、
あるまじき姿勢だと思います。
まるでレ・ミゼラブルの世界です。

自分の権力を振りかざし(しかも大人が中学生に!)
そうして「つつがない学生生活を送らせよう」
と、そんな姿勢が垣間見え、
「内申書」は脅し文句か!?
進路指導はパワハラか!?と不愉快極まりないです。

更に、腹立たしいのは、事件後校長先生がこの方針を即撤回して、
万引きの記載を3年時に限ったものに変更したとのこと。
そこには自分の保身しかなく、なんの教育ポリシーも感じられません。

校長先生の個人攻撃をするつもりはありませんが、
最近の学校教育をみていると、
こういう「失敗を許さない」雰囲気がそこかしこに感じられて、
非常に危惧しています。

それはおそらく、学校の先生の保身もあるでしょうし、
親たちの恐れも大きいと思います。
また教育委員会、ひいては文科省も方針が定まらず、
行き当たりばったりの付け焼刃の対策が非常に多いと感じています。

とくに「ゆとり教育」からの揺り戻しは、
一体何なんだ!?と翻弄されっぱなしです。
ゆとりを止めて、段階的に授業数を増やして、
なんていう過渡期に我々は子育て時代がぶつかってしまい、
どう解釈したら良いのか分からないまま、
子供たちは義務教育を終えようとしている訳ですから。

ゆとりならゆとりで、情操教育に力を入れ、
心の健康を図る!というならまだ分かりますよ。
でも結果として、授業数は減らされ、親の収入格差で、
子供の教育が決まる・・・といった結果となり、
益々一般庶民の恐れが強まった最悪の学校教育時代
それが現代じゃないでしょうか。

そして益々「自己責任論」が高まっていき、
失敗したり、どこかで脱落したらもう這い上がれない、
いえ、失敗したり、過ちを犯した人間を2度と許さない
という風潮が強まったと思います。

ストレスと不安だらけの現代となり、
そのはけ口には「道徳概念」という一見正義に見える、
錦の御旗を掲げて、
弱い人や弱っている人を徹底的に叩く!
こんな社会となってきたことが本当に嫌だなと思います。

学校の先生も親も、子供たちの失敗を許し、
むしろ子供時代こそ、沢山の失敗をさせてあげるべきだと思います。

教育者には「道徳」とか「常識」といった色眼鏡を外し、
子供自身の良さを引き出してあげること、
その子の夢を叶える手伝いをしてあげること、
そう言った単純でシンプルで原始的な視野に立って
関わって欲しいと心から願います。

そして失敗や過ちを犯しても、
そこから立ち上がり、やり直そうとしている人たちを、
暖かく受け入れ、応援できるそんな社会であって欲しいと思っています。

教育は国の未来を決める大切な基幹です。
教育方針を、小さな道徳概念で決定することがないよう、
私たちも見守り、そして声をあげていくべきだと思います。

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