自殺願望:厚労省ナビダイヤルはお休み・・・です

公開日: 

9人殺傷事件で日本中が震撼としていますが、
私が一番驚いているのは、現代の若者たちは、
自殺志願の仲間をTwitterで募るということです。

これはひとえに「生きたい」という気持ちの現れかと思います。
「誰かに分かって貰いたい」「誰かに共感して欲しい」「誰かに話を聞いて欲しい」
だから自分と親近感のある仲間を探しているのではないでしょうか。

13歳から44歳まで自殺念慮に悩まされ、
中学時代は度々自殺企図を繰り返していた私の経験からすると、
本当に誰にも言えなかった時期と、
死んでしまいそうな自分をなんとかしようと、誰かに必死に助けを求めた時期の
二つがあったと思います。

一番死に近づいた時代は何と言っても中学時代で、
人間関係も限られていることから、
自殺願望を誰にも言えず自殺未遂を繰り返していました。

その後、流されるように行った高校で、大きく環境が変わったことから、
実際に自殺企図を繰り返すことはなくなりましたが、
相変わらず自殺念慮が消えることはありませんでした。

そして40歳~44歳の間にもう一度「死」に大きく近づいた、
ターニングポイントがありました。
それは依存症からの「回復」という道を知り、回復していく方法が分かり、
「回復」と「現状維持」のはざまで揺れ動いていた時です。
この時は「死にたい」「死にたい」と、あらゆる人に泣きわめいていました。

「このままじゃ辛く、苦しい」と思ってはいるのですが、
「自分が変わるのもものすごく怖い」「きっと自分は変われない」
二つの感情で引き裂かれていました。
「死にたい」と言いながら、本当は「生きたい」「助かりたい」と、
願っていたと思います。

そして私の場合は運よく助けてくれる仲間達、
根気よく、見捨てずに支えてくれた人がいたおかげで今があります。

だから「死にたい」と仲間を募っている人達は、
心のどこかで「生きたい」と思っているはずです。
私は多くの仲間を自死で失っていますが、その仲間達をみていても、
「生」と「死」はまさにほんの少しの差であった・・・としか思えないのです。

自殺対策を考える上で、自殺願望のある人間は何をするか?
自分の経験から考えても、
今の自殺志願者が危険を承知の上でTwitterで仲間を探すという行動からも
最後の最後まで揺れ動く感情のため、
共感し黙って話を聞いてくれる人を探そうとするのだと思います。

それもできるだけ自分の事を知らない人に、
批判せず、励まされず、とにかく受け入れて聞いて欲しい!と思うのです。
しかも心の体力が残っていないので、
自殺の衝動で頭の中がいっぱいになった時に、
迅速に相手がつかまらなければなりません。

自殺から守るための対策として、
私たちの時代は「いのちの電話」が有名でした。
今でも「いのちの電話」はありますが、
このサービスは有志のボランティアで支えられていることから、
人手不足の上にニーズが多いことから殆ど繋がりません。
私も死にたい頃、何度もかけましたが、一度も繋がったことがありません。

そもそもこんな大切な役割を、
国が民間団体のボランティアに任せていること自体がおかしいと思うのです。
国は自殺対策に力を入れていると言われ久しいですが、
こんなにも若者がTwitterで自殺仲間を探している現実に、
迅速に対応していると言えるでしょうか。

皆さん、これだけ「自殺志願」が騒がれている現在、
どんな対策が行われていると思いますか?
「自殺願望」とネットで検索してみて下さい。
すると厚生労働省の
「あなたの気持ちを話して下さい」
というサイトがTOPにきます。
こころの健康相談統一ダイヤル

そうすると「こころの健康相談統一ダイヤル」という、
ナビダイヤルが出てきます。
でもこのナビダイヤルにかけると
「只今の時間はおやすみさせていただいております」となるのです。
これはおそらく本日が祝日だからだと思われます。

そして、このダイヤルに繋がらない場合はこちらへ
と「自殺総合対策推進センター」というサイトもリンクがはられています。
自殺総合対策推進センター

でも、その内容をよく見てみても、
いつも国が行うアリバイ作りで、
精神保健センターもしくは保健所の電話番号が掲載されているだけなのです。
つまり平日の9時から5時頃までしか電話は繋がりません。
しかも本当にそんなになんでもかんでも、精神保健センターや保健所が対応しきれるの?
と、どう考えても無理があると思うのです。
でも、これがこの国現状です。

民間団体で24時間対応をしているところがあるようですが、
相当検索しないとでてきません。
名前も知られてないですし、
必要な人がもっと早く繋がれるようにしなくては意味がありません。

日本は先進国第一位の自殺大国と言われて久しくなりました。
若者たちはTwitterに最後の望みを託し、SOSを発信しています。
そして今回のような犯罪に巻き込まれ9人もの命が奪われたのです。

今も昔も生きづらく、自殺者の支援が少ない日本。
この事件そのものは猟奇的であったにせよ、
根底に流れる問題には、
ずっと取りざたされている、日本の自殺対策の遅れにも、
大きな責任があったのでは?と思っています。

「Twitterなんかで自殺願望を告白するな」
「仲間を募るな」
「理解ができない」
ワイドショーで大人たちが皆口を揃えて話しています。

確かにSNS対策は必要ですが、
今真摯に対応しなくてはならないのは、
日本にはTwitterにしか助けを求めるツールがないのだという、
現実ではないでしょうか。

国はいい加減、なんでもかんでも
「精神保健センターと保健所で相談を受け付けます。」
という逃げ口上を改善して欲しい!
依存症問題とあわせて、切にそう願う次第です。

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