師も走るが依存症者も走る師走です

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皆さん、今年もあっという間に師走になってしまいました。
まったく噂には聞いていましたが、
年を取ると本当に歳月が流れるのが早いですね。

私、みんなが浮かれてるこの年末年始が一番憂鬱でして、
毎年12月になると「あぁ、やだなぁ・・・」と思うんです。
もうこの仕事についてから、
年末年始のんびりゆっくりなんて気分に浸れたことは皆無ですね。

何故かといえば、ギャンブラーはじめ多くの依存症者が、
この年末年始に問題をおこすからですね。
お手上げになって、つながってくる人が多いことは
喜ばしいことでもあるんですが、事件になったり、
最悪、自殺未遂・・・なんてことになるとですね、
行政も病院もどこも動いちゃいないですからね。
まさにてんてこ舞いになります。

特にギャンブラーは2週目を過ぎたあたりから、
問題が起こりやすくなります。
大きな原因の一つはボーナス。
多くのギャンブラーはこのボーナスを返済に充てこんでいます。

いや、正確に言いますと、
「ボーナスを借金返済のための軍資金にして、一発大勝負をしよう!」
と充てこんでいるんですね。

もちろん、最初はそんなこと考えていないですよ。
ボーナス貰ったら、ちゃんと普通に返済に回そう!と思っています。
だ~け~ど、お金を手にしたら、考えがコロッとひっくり返るのが、
この病気の恐ろしさ、忌まわしさです。

「1年苦労して稼いだボーナスを、全部返済に回したとしても、
借金全額返せるわけじゃなし、むしろ焼け石に水じゃないか・・・
ここはこの種銭でギャンブルやって増やして返そう!」
と必ずと言っていいほど、思ってしまうんですよね。
私もそうでしたし、多くのギャンブラーの話を聞いていても、
皆同じことをやっているので、これがこの病気の症状なのだと思っています。

そしてこれも必ずおけらになる。
もしくは最後はおけらになるまで結局やる。

この時、「もうダメだ・・・」となって支援につながってくる人と、
自暴自棄になって事件を起こす人がいて、
我々家族や支援者の心労がつきないんですよね。

そしてもう一つ年末年始に依存症者が動く大きな要因・・・
それはなんと言っても「孤独感」。
この孤独感が増すことで、リスクが高まるんですよね。

けれど、それは大きなチャンスにもなる。
まさにもろ刃の刃なんですよね。
ここが本当に何とも言えない難しさです。
だから普段ご家族がどれだけ自助グループや家族会で学んでいるか、
それが大きなカギとなりますね。

皆さん考えてもみてください。
世間はボーナスが入り、欲しかったものを手にいれるために、
買い物にいそしんでいる。
街は忘年会シーズンで、浮かれた人たちがあふれてる。

クリスマスやお正月といったビッグイベントを、
皆、友人や家族、愛する人たちと過ごしている。
そんな時、たった一人で行くあてもなく、疎まれ、嫌われ、
自分だけが一人ぼっちで過ごしている。

仕事があればまだましですけど、年末年始などは仕事も休みで、
行くあてもなく、下手すりゃ部屋もない。
これが依存症者の現実です。

だから依存症者を持つ、ご家族の皆さんは、
こっから正念場が来るかもしれませんからね、
自助グループや家族会に通ってしっかり備えてくださいね。

それから支援者の方々は、ご家族にご自分たちが関われない年末年始に、
何か事が動いた場合、どうしたらいいか?
どこに連絡すればいいのか?
きちんと伝えてくださいね。

大ピンチは大チャンスにつながるんです。
動く確率は普段よりずっと増します。
そのチャンスをご家族が無駄にしないよう、
きちんと対処しておいていただくよう心からお願い致します。

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
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[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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