公益記念フォーラムの総括です
昨日のフォーラムの模様、お陰さまで様々なメディアで取り上げて頂きました。
「家族の8割が借金肩代わり」 ギャンブル依存症調査で判明
ありがとうございます。
さて、そこで本日は、国会議員の先生方のシンポジウムのあとの模様を、
ご報告したいと思います。
まずは、今成さんからご祝辞を頂きました。
先を走るアルコールの基本法のご経験から、
関係者会議の必然性を分かりやすくご教示頂き、援護射撃して頂きました。
次に、政府のインターネットTVにも登場したギャン妻の金子さん。
度重なる借金に悩まされ、苦しんできたけれど、
自助グループに繋がり、夫と共に回復の道を歩いているという
経験を率直に話してくれました。
そして、当事者の経験を語ってくれたのはひとしくん。
どうしてもやめられなかったギャンブルが、
回復施設に繋がって、今はとまっていることを、
ユーモアたっぷりに話してくれました。
実はこのひとしくん、宇佐美さんのお知り合いで、
宇佐美さんから介入して貰ったんですよね。
で!宇佐美さんのサプライズ登場!
宇佐美さんが
「自分くらいの知識を誰もが持つ社会というのが求められるギャンブル依存症対策」
とおっしゃってくださったのが、非常に印象的でした。
また、ご自身もパチンコにハマって、実は東大を留年してしまい、
経産省に入省しつつも、半年間大学で単位もとっていた・・・と驚きの告白も!
会場を沸かせました。
そして、最後は私と松本先生の総括です。
松本先生が大切なことをご教示下さったので、
以下に私の質問に対する、松本先生のお答えをまとめますね。
Rが私Rico、Mが松本先生です。
【回復モデルについて】
R:依存症は医療モデルではなく、社会モデルで回復を目指すものではないでしょうか?
M:そうですね、薬を飲んでなおるというものではなく、その病気と共に生きやすくするのは
どのようなサポートがあるか?どうにもならなくなった人を支えていくにはどのような支え方があるか?
色んな支え方がある・・・ということを検討していくことだと思います。
【予防教育について】
R:大学生の中退などにギャンブル依存症の問題が関わっていることがあると分かっています。
でも、予防教育をやると言っても、知識のない人が「ダメ絶対」みたいな教育をやっても意味がないですよね?
M:そうですね、リスクの高い学生たちはすでにやっているわけですから、益々孤立するだけだと思います。
少なくともその問題に気づいた人達を孤立させずに、適切な支援に繋いであげて仲間を作ること、
そういう仲間を作ることが大切だと思います。
回復の方法とか、社会資源とかを知らない人達が教えるのでは意味がないと思います。
【再犯防止】
R:周りの人達も正しい知識がないので、安易に示談を進めてしまうので再犯に繋がっています。
変な話ですけど、捕まった時って、回復のチャンスになっていくわけですよね?
M:そうですね、示談を安易にしてあげちゃうと、またギャンブルできる状態を、
家族が作ってあげてしまうことになります。
R:刑務所は再犯防止の機能を果たしているんでしょうか?
M:依存症の人は、物理的に隔離しても解決につながらないんですね。
それをやっても出た時に、すぐにまたやりたくなってしまいます。
そうではなく逮捕された時に支援に繋げることが大事だと思いますね。
【借金の肩代わり】
R:借金の肩代わりですが、1~3回位でお手上げになっている人もいますが、
一方で10回以上肩代わりを繰り返している人もいます。根性がありますよね~(笑)
この家族の心理ってどうなっているんでしょうか?
M:もしかするとご本人と同じような状態、一時的に解決すればなんとかなる!
という気持ちに、追いつめられているうちになってしまっているのかもしれません。
いっとき楽になるってことに、全神経が集中していると思います。
そして、散々裏切られていても、魔法のようにいつか流れが変わる!と思ってしまうところもあると思います。
R:それって追いつめられていくと、「これが最後」みたいな所に期待しちゃう、そこに「賭け」ちゃう。
ギャンブラーの家族もまたギャンブラー・・・みたいなところがあるんですね。
M:そうですね、これが最後の1回みたいなね(笑)
R:肩代わりの金額ですが、1000万円以上と答えている人が17.5%もいますが・・・
こうなってくると社会全体の悪循環になっていくと思いますが。
M:本当に・・・高齢者の破産など社会問題も起きてくると思います。
【他の問題について】
R:調査結果をみるとギャンブルと同時にアルコールの問題も同時に持っている人が結構いますが・・・
M:はい、結構いますね。薬物もいます、覚せい剤使うと、スロットの目押しがうまくなる!
と信じている人達がいたりしてね・・・
あとは暴力的になってしまう人達もいます。
【母子支援】
R:夫婦どちらか、もしくは両方が依存症を発症している時に、
子供に対して良い関わりをするというのは、とても難しいと思うのですが、
その辺はいかがでしょうか?
M:ギャンブル問題のある家庭というのは、家の中に異様な緊張が満ちているので、
子供は様々な影響を受けます。
明確な体罰がある場合などはもちろん、なくても相当な影響を受けます。
R:子供たちには世代伝播の影響ってやはりありますか?
M:ありますね。「あんな親にはなりたくない」と思っていたのに、親と同じことになっていたりします。
それと変な話ですけど、お父さんに依存症の問題があるんですけど、
そのお父さんのことでイライラしている、お母さんから子供は強い影響を受けることもあるんですね。
そういう意味でも、お母さんがサポートを受けて安定するということはとても大事ですね。
【自殺対策】
R:多重債務になった人の理由第4位がギャンブルなんですね。
そして多重債務が原因で自殺した方の人数は、分かっている方だけで604名います。
やはり多重債務は自殺原因になりやすいんですか?
M:なりますね。特に若い人はなります。
R:それでいて、私が思うに、今の自殺対策にギャンブル依存症の視点入っていないと思うのですが。
M:はい、むしろ多重債務に対しては、ただちに弁護士さんらが入って、多重債務を処理してあげましょう!
という動きになってしまっているんですね。
でもギャンブル依存症の場合は、まず処理をしてしまわないで、支援につなげましょうということが
大切じゃないですか。そういった意味で、ギャンブル依存症のことは、
自殺対策にきちんと浸透していないと思いますね。
R:私、思うんですけど、今、自殺対策に関わっている人達に、
対策について「一緒にやりましょう」とか持ちかけられたことがないんですね。
ギャンブル依存症の視点が今対策に関わっている人達には抜けているということじゃないでしょうか?
M:そうだと思います。
【カジノ議論による影響】
R:電話相談や数回の心理療法、こういうことは行政などで盛んに行われるようになったのですが、
困難事例は置き去りで我々が右往左往しているのですが、この辺はいかがですか?
M:電話相談など、この辺の対策はやりやすいので、
益々こういう困難事例は未解決のまま、地域で山盛り状態になってしまっていますね。
【予算規模】
R:現在アルコール・薬物・ギャンブルの予算って6.1億位ですけど、
アメリカなんかはアルコール薬物だけで500億位あると言われてますよね?
M:そうです全然違いますよね。
R:先生達も研究費とかお金に困ってるんですか(笑)
M:そうですね、ないです・・・ないから出来ないと言い訳にしてるんですけど、
アメリカなんかにいくと、なんでこんなに違うんだろうと思いますよね。
【受け皿について】
R:ギャンブルの問題は受け皿のなさですよね。
依存症は慢性疾患ですから「寄りそっていく」ということが大切なんですよね?
M:はい、止めるのは簡単なんですけど、止め続けるのが難しいんですよね。
しかも止め続けている間にも様々な出来事があって、
その出来事のたびに色んな揺さぶりがかかってくるわけです。
その揺さぶりを様々な方面からサポートしてくれる資源というのはとても大切なものです。
R:お医者様からみてやはり自助グループというのは効果があるんですか?
M:というか医者ができることは、きっかけを与えることだけだと思います。
そのあと「安心して正直に言える場所」が必要なんですよ。
自助グループのいいところは、依存症ってすぐに忘れてしまうことが問題じゃないですか。
でも、自助グループにいると、過去の自分と同じ人が、
常に新しい仲間で入ってくるので忘れずにいられること、
さらに未来の自分もいるので、希望が持てること!だと思います。
本当に必要な社会資源だと思います。
すいません、ただこのパワポのちに今成さんに教えて頂いたところ、
少々古いデータだったらしく、アルコールの生涯罹患率は109万人だそうです。
またギャンブルで使っているのはスクリーニングテストSOGSで、
アルコールは診断基準ICD-10なのだそうです。
アルコールのほうもスクリーニングテスト(AUDIT15点以上)でやると294万人で、
ギャンブルと推定人数はそんなに数は違わないそうです。
なるほど~、推定人数の出し方も色々あって、面白いですね!
ということで、松本先生は薬物の先生ですが、
是非、ギャンブルの方にもちょっと力を貸して頂けるとありがたいです!
という私のあいさつで総括の締めの言葉とさせていただきました。
いかがですか?
今回も示唆に富んだ教えを頂き、
会場に居た方々にも大きな学びとなったのではないでしょうか?
松本先生、ありがとうございました。
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