母は天下一品の内弁慶なんです

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ココの所、ちょくちょく書いている我が家の謎。
多くの方にお読み頂けて、改めて我が家のギャンブル依存症の家族ぶりを、
痛感している次第です。

まだお読み頂いていない方、是非ご一読下さい。

あるギャンブラーの孤独死です

期待を裏切らない父の人生です

母の人生です

祖父の秘密・母の告白・衝撃の一言!です

お読み頂けると、お分かり頂けるかと思いますが、
兄弟姉妹は、この貧乏な実家苦境において、
経済的な援助の役割は誰も果たしていません。
すぐ下の弟など、私立高校から私立大学へと、
現代でも贅沢と言われる道を堂々とえばりくさって通った人です。

下の弟も母曰く「たいして頭は良くなかった」けれども、
末っ子だけあって、経済的に楽になり大学を出して貰えたそうです。
昔のことですから、男の子礼賛教育が色濃く残っていました。

そして、もう一つこの弟たちには重要なファクターがありました。
とにかく、我が家の叔父たちはイケメンだったんです。
祖父もイケメンだったそうですが、叔父たちは私から見てもカッコ良い人でした。
そのため、常に女性達にチヤホヤされ、下の弟に至っては、
中野区の長者番付に載るような、
大金持ちに婿入りが決まるというミラクルまで起きるのです。

また、上の弟については、以前にもブログに書きましたが、
バブル時代に日興証券の重役にまで上り詰め、
次期社長か!?とまで噂され「一体どこまで偉くなるんだろう?」と、
我が家の期待の星!みたいな人だったんです。

その後、バブルがはじけ損失補てん問題で失脚し、子会社と、孫会社の社長となったのですが、
その時親会社の方から頂いた退職金を、不動産投機に突っ込み、その後全てを失い、
借金総額なんと3億円を抱えることになり、自殺未遂した人なんですね。
結局その時は一命を取り留めましたが、失意のうちに60代で亡くなりました。

母は、この上の弟の娘、つまり私の従妹ですが、
この子が母親である叔父の嫁に虐待されていたので、
それを見かねて、一時期この子を引き取り、
私たちは幼稚園時代姉妹として育つという面倒も見ていました。

とまぁ、これだけ兄弟に尽くした母でありながら、
この叔父たちは、バブルがはじけ景気が悪くなると、
なんと結託して、母親の財産をむしり取ろうとやってきました。

我が家はバブルの頂点に祖母が亡くなりました。
その時は、日興証券の叔父も全盛期で、叔父達の威光で、
貧乏な雑貨屋には不釣り合いの、とんでもない派手な葬儀が営まれました。
花輪がお寺の門から本堂までずらりと並んだことを覚えています。

また丁度その頃、我が家はずっと貧乏でしたが、バブルの絶頂期に立ち退きにかかり、
すんごいボロい長屋の借家権しかなかったにもかかわらず、
その時1000万円の立ち退き料が貰えたのです。

社会の人との法的な交渉事などになると、とたんに意気地のない、そして疑うことを知らない母は、
この交渉事をバカみたいに母の姉婿(裁判所の書記官だった)に任せてしまいます。
これが大失敗の始まりで、長い間、ずっと店を切り盛りしてきた母で、
しかも店の名義も母のものになっていたのに
なんとこの時、この1000万円をこの姉婿が、母に500万、祖父に500万と分散して入金したのです。
こんなことをしたら、この500万は祖父の遺産になってしまいますし、
まんまと500万円もの大金をせしめた祖父は、もう2度と手放しませんでした。

そこで母は激怒しますが、すでに後の祭り。
せめてもの対策で入金された500万円を母の許可なくおろせぬよう、
地元信用金庫に頼みこみ対策をうちました。
当時は今ほどうるさい時代ではなく、この願いはなんとか聞き入れられました。

そして祖父の死。
祖母の死から祖父は12年もの間長生きをするのですが、
その頃には、上の弟は、自殺未遂から一命は取り留めたものの借金で追いつめられていました。
下の弟も、金持ちの義父母がバブルに相次いで亡くなり、
相続税問題で嫁の姉夫婦ともめにもめ資金繰りに困っていました。

祖父の死が現実味を帯びた頃、この叔父たちは盛んに祖父に見舞いに行くようになり、
たった500万円の立ち退き費用、その他母がバカみたいに、当時あった300万円のマル優制度などのために、
わざわざ祖父の名義にしてあった貯金を狙って、
遺言を書かせようとしたり、印鑑を病室から盗み出そうとしたことが発覚しました。

母と兄弟たちは、ここで絶縁関係になります。
兄弟たちは、若い頃から自分たちの学費はおろか介護まで全てを母に押しつけただけでなく、
殆ど無年金で、遊び人だった祖父を養い、コツコツと生きてきた母の財産を、
今度は狙ってきたのです。
本当に、母ってどこまでマヌケで、しかも舐められる人なのでしょうか。

でも舐めくさった、叔父たちにはたった一つの誤算がありました。
それは・・・・

はいそうです!私という恐いもの知らずの無敵艦隊みたいな、
はねっかえりの娘がいたことです(笑)

母はただおろおろと私に愚痴り、怒り、嘆いていましたが、
私は、母と違い金に全く無頓着なので「しょうがいんじゃないの?」
と、最初あまりの母の馬鹿さ加減にあきれていました。
しかしながらそれでもすがってくるので「んじゃ、なんとかしてやっか・・・」
ってな感じで、やる気になったのです。

で、祖父の死期がまさに目の前に迫った頃、私は猛ダッシュで、
弁護士に相談に巡り、何人もの弁護士にあたりました。
で、分かったことは相続財産にのせたら勝ち目はない。
いくら母が献身的に全ての面倒を見、しかも店の権利があったという真実があっても、
法の前では、献身など無意味という現実に直面しました。

そうなると「生きてる間にこの貯金をおろすしかない!」と気がつきました。
しかし、母ははした金をコツコツためる人なので、
当然普通預金じゃなく、定期預金にしてる訳ですよ。
キャッシュカードで気楽におろせるわけじゃない。
でもって、地元信用金庫はうちの事情を良~~~~~く知っている。
しかも下の弟が、この信金の青年会長でものすごく懇意で向こうの味方。

だったらやることはただ一つ。
ぐうの音もでない理屈と、相手に責任がふりかからない方法を提示して、
口説き落とすしかない。
それには強気の客と思わせる演出も必要で、
この私、真っ赤なシャツに、ぴったぴたの革パンツ。
それにヒョウ柄の毛皮を着込んで、単身信金に乗り込んだんです(笑)

そして
「この金をどうしても今日中におろして欲しい。
祖父がいよいよ死にそうである。この金は、医療費、及び、葬儀代、墓石代に使う。
この金がおりないと、我が家はそれらに払える金がないのだから、今すぐおろして欲しい。」
というような理屈で、多少(かなり)凄みながら信金の窓口で交渉したのです。

すると案の定、奥の方から店長がすっ飛んできました。
で、向こうは「遺産相続に関わるお金ですので・・・」ってな感じで当然しぶっていましたが、
またそこでミラクルな理屈が思いつき、
「今まで、何十年もの間、祖父にかかった費用を、全て母が立て替えてきました。
その資料も全て整っています。(本当は整っているかどうか知らなかったんですが・・・)
なおかつ、今後の費用も現在の病院のお金も必要で、
それを清算したい。なんなら、私が嘘をついていない証拠に、
病院でどんな状況か、あなたが聞いてきたらどうですか?」
と強気で話し、ご丁寧に信金の人達が本当に病院に見に行き、その結果
「わかりました。でも我々に責任がかからないよう、一筆書いて下さい。」と言われたので、
「あぁもうそんなの一筆と言わず何筆でも書きますよ!」ってなことで、
全額、祖父が死ぬ前に引き出してしまったのです。

当時、私は30歳で、まだ弁護士事務所にも勤めていたわけでもなく、
本当にズブのド素人でしたが、知識を得た今でもこの作戦は理にかなっていて、
しかも全面大勝利を収められる、1円たりとも無駄金を使わない、
唯一の方法だったと思っています。

スピード感、タイミング、そしてクソ度胸で、難所を乗り切る!
今も昔も資質は全く変わっていません。
そして祖父は、このわずか数日後に亡くなったのです。

で、葬儀の当日。
叔父たちは寄ってたかって母に
「遺産相続のハンコを押してやるから、通帳を持ってこい」
と偉そうに言ってきました。

でも母は涼しい顔で
「遺産?相続?何の話?あの爺さんが、全く働かずぱちんこ三昧だったことは、
あんたたちが一番よく知ってるじゃない?
殆ど無年金の爺さんが、どうして遺産が残せるわけ?
まさか私が働いた金をよこせって言う訳じゃないでしょ~?」
と、身内には強気発言をする母。

私は横で、涼しい顔で聞きながら、
「ホンマこの人、どんだけ内弁慶なんだろ・・・」
と思いながら、私も心の中で大笑いをしておりました。
それ以来、母の兄弟姉妹、そして従妹たちとも一切会っていません。

今でも、あの時のことを想い出すと、スカッとします。
そして叔父たちを「金で魂を売った可哀想な人」と理解できるようになりました。
会いたいとは思いませんが。

それにしても母。
身を粉にすることは得意でも、なんでちょっとした交渉事に
怖気づいてみたり、自分で調べたりしないんでしょ?
昔はそういう母がバカに見えて仕方ありませんでしたが、
今ではその分、私がたくましく育ったしね!と、
このキッタハッタの世界で生きられる資質を身につけさせてくれたと思うと、
ホント上手く出来てるよなぁ~と、つくづく感慨深いのです。

親のダメな所は子が伸びる!
これ私の子育ての教訓です。
だから子供たちは実に気が長く、おっとりしてます(笑)

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